サンファン原作ファン、宝塚を観に行く。

どうも。

サンファンこと「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」のファンです。

サンファンファンとアンパンマンて語感が一緒だね。どうでもいいね。

 

これは宝塚歌劇団超絶初心者の私がサンファン宝塚化の発表から実際に観劇するまでの備忘録です。

観劇の感想のみ読まれる方はどうぞ目次をご活用ください。

 

※以下、原作および宝塚版の盛大なネタバレしかありません。

※あくまでも一個人の感想であること、ご理解下さい。

※「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」は2018年10月1日より放送開始です。

 

 

 

 

 

 

サンファン、宝塚になるってよ。

 

2017年12月26日。

とんでもないニュースがサンファンファンの間を駆け巡りました。

 

サンファン、宝塚になるってよ」

 

第一報を聞いた時は正直なんとも言えない気持ちになりました。

なんでやねん!と意外と合うかも!?がせめぎ合う汽水域。

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 これ↑が、宝塚で舞台化されるということです。

未知との遭遇すぎる。

 

ただ、殺無生のデザインが宝塚の羽根をイメージしていることもあったりして*1、宝塚さんが得意なド派手な衣装やメイクは結構親和性が高いのではないかと思いました。

また、宝塚さんで台湾公演を開催するにあたり、日本のコンテンツ文化と台湾の伝統芸能がコラボしたサンファンと言う作品に白羽の矢がたったその事実が素直に嬉しかったです。

どうもありがとうございます。

 

当時サンファン原作勢がどのような状態にあったかというと、1期「東離劍遊紀」の放送終了から約1年が経ち、劇場版「生死一劍」も無事公開され、あとは製作が決定していた2期の放送を今か今かと待つばかりの状態でした。

 

そこに突如としてとんでもない爆弾が落とされたわけです。

 

 

西幽よりも遠い宝塚の世界。

 

私はサンファン1期を事前特番から全てリアルタイム視聴し8話まで楽しく観たあと残り5話で無事消し炭、デザイン画集やスピンオフ小説も購入しつつ劇場版「生死一劍」を舞台挨拶付きで見に行ったレベルのサンファンァンです。初めて凜雪鴉の木偶*2を拝んだ時のの感動ったら。写真たくさん撮りました。

 

逆に宝塚さんについては8~9年前に一度観たことがあるだけのほぼ初めまして状態。(後ほど調べたところ、こちらも奇しくも星組の公演でした)

 

知っているのは

 

・組があること。

・男役と娘役がいること。

・役者さん(生徒さんと言うんですね)に序列があること。

・よくクリエの前がヤバいことになっていること。

・羽根とお盆持って踊ること。

 

このくらいです。

ヅカオタさんの友人が何人かいたので、なんとなくの枠組みを知っていたと言う程度。

観劇経験こそあったものの、親に連れられて行っただけで内容はほぼ覚えていませんでした。金ピカのセットで金ピカの衣装の人たちが踊っている記憶しかありません。酷い。

 

前述の通りビジュアル的には何の心配もしていなかったのですが、気になったのはストーリーと配役です。

 

ストーリーどうするんだろうか。

 

 宝塚さんの公演が演劇とショーの2本立てになるということを聞き、そうなるとサンファンに割ける時間は長くても90分しかないということに気づきます。

サンファンは全体のストーリーの2/3を使って伏線をこれでもかと張り巡らせ、ラスト数話で一気に回収、更にナナメ上の大どんでん返しをかましてくる綿密に練られたストーリーが作品の魅力のひとつです。作品のある一部分だけを拾うと面白みが損なわれてしまいます。

つまりここで考えられる選択肢は

 

・ストーリー全体を90分以内に纏める。

 or

・完全オリジナルストーリー。

 

 その後宝塚公式HPで公開されたあらすじを読み、ストーリー全体を90分以内に纏める算段であることが判明します

 

……………無理だろ、と思いました。不安です。

 

演出上の問題もあります。

CGバリバリのアクションシーンはもちろん、グロテスクな表現*3も多いので心配でした。

ダンスや歌の得意なタカラジェンヌといえど、殺陣はどうなんだろうか。

散り際の蔑天骸が突然熱唱したりしないだろうか。

気になることが増えていきます。

 

キャスティングどうするんだろうか。

宝塚さんではひとつの組に何十人もの役者さんがいて、そのうち男役と娘役の役者さんが半々くらいと伺いました。

 

そこに当てはめようとすると、サンファンには圧倒的に女性キャラが足りません。

というか根本的に名前とセリフのあるキャラクターが足りません。

また、いわゆるモブ、アンサンブルにあたるキャラクターも殆どいません。やられ役の 玄鬼宗か饅頭屋のおじさんくらいです。

 

更に序列の概念がある宝塚さんですから、その辺りも気になるところでした。

 

トップスターさんが凜雪鴉

トップ娘役さんが丹翡

 

ここまでは良いのですが、問題は二番手さんという概念です。

私は二番手さんの配役にこう仮説を立てていました。

 

本命:殤不患

→凜雪鴉の横に並ぶべきW主人公*4のひとりだから。

洪荒禁窮獄のシーンは美味しい以外の何物でもありませんね。かっこいい。かっこいい。

 

次点:蔑天骸

一応ラスボスだから。

本当の意味でのラスボスは他にいますが、旅の目的であり倒すべき敵が蔑天骸です。蔑天骸はビジュアルのインパクトも強く、出番や見せ場の多いキャラクターなのでこちらの線もありだと思いました。最後に凜雪鴉と対立するしね。

 

大穴:殺無生

→主演スピンオフ映画*5が作られた人気キャラクターだから。

立ち位置的にも大変美味しく、キャラクター性もそうですがビジュアル的な人気も高いのであり得なくは無いなと思いました。みんな大好き笛吹き係の無生ちゃん。

 

 

 

結果は皆さまご存知の通り。

二番手として発表されたのは捲殘雲でした。

 

 

_人人人人人人人_

>いや捲殘雲て!<

 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

 

え?

 

捲殘雲???

 

なんで?????

 

正直このあたりでめちゃくちゃ不安になりました。

捲殘雲はメインストーリーに深く絡むキャラクターではないし、戦闘面でも強くはないし、殤不患や殺無生のような粋なかっこよさもないパーティのアホの子みんなの弟、コメディリリーフです。

(誤解しないでください、捲殘雲のことは大好きです。)

 

それが、凜雪鴉と丹翡の横に並びたつわけです。

 

そして最初のチラシが公開されます。

 

 

凜雪鴉、丹翡、捲殘雲。

凜雪鴉、丹翡、捲殘雲です。

凜雪鴉、丹翡、殤不患だと思ってたのに捲殘雲。

ハリーとハーマイオニーの横にいるのがネビル、みたいなもんです。

ナルトとサクラの横にいるのがチョウジ、みたいなもんです。

不安です。

 

まず真っ先に不安だったのが捲殘雲が前に出ることで殤不患の存在が軽くなること。

殤不患は主人公なんです。チート級の強さと優しさと厳しさを併せ持った性格の持ち主なんです。超かっこいい主人公なんです。……という個人的な感情を捨てても、サンファンと言う物語を形成する上でかかせない人物であり、なんなら彼が居なければこの話は完結しません。

 

同時に、捲殘雲を前に出すことで生まれる利点があります。

それは丹翡との恋愛を前面に押し出せること。

宝塚さんといえばラブロマンス的な印象を勝手に持っていたので、もしかしたらそういう面を強調するための配役なのではとさえ思えました。武侠の世界を描いたサンファンという作品に、まさかロマンス要素をブチ込むつもりか!?

相当不安です。

 

当然、宝塚のファンなら捲殘雲役の方の性格や得意な役もご存知でしょうからこの配役に不安も無かったのかもしれませんが、そういう情報が一切無い私にとってはこの時点で考えられる理由がそれしかありませんでした。

 

「二番手」が「捲殘雲」という事実がもう超絶不安です。

 

捲殘雲」の「母」

追い討ちをかけるように発表される配役という名のパワーワードの数々。

 

捲殘雲の母って誰。

 

90分しかないであろう上演時間の中でただでさえ時間が無いのに突如として現れた捲殘雲の母。*6

 

傀儡師って何。

丹衡兄様とか廉耆先生とか名前あるけど出番無いぞ大丈夫か?

 

そしてこの配役が出揃ったところで、マジでストーリーを90分で全部収める気なんだと改めて実感します。

不安不安と不安しか書いてないですが本当にこの頃は相当不安でした。

もういろんなものがピークです。ただでさえ尺が無いのにオリジナルキャラまで投入してどうするつもりだ。

 

紅凜さん、顕現。

しかしそうこうしているうちに大阪公演の初日を迎えます。

ご覧になられていた方はご存知の通り、ポスター等には「Killer Rouge/星秀☆煌紅」のビジュアルが使用されており、サンファンのビジュアルは公演初日までベールに包まれたままでした。

焦らしに焦らしたビジュアルがついに解禁。

 

これが見事に不安を中和してくれます。

 

 

(解禁時のものが見つけられませんでしたので、ライビュの告知を引用いたします。)

 

丹翡ちゃんかわいいよ……。

凜雪鴉ムカつく顔してんなぁ(絶賛)。

 

思った通りどころかそれ以上の再現率にテンションがあがると当時に、この衣装とメイクで舞台に立ってくれるなら、(失礼ながら)例え内容に不満が残ったとしてもそれだけで見る価値がありそうだと思いました。特に凜雪鴉の衣装に使われている青い布は木偶を作成している霹靂*7さんの特注品だそうで、これが再現されているのが本当に凄い。

 

閑話休題

観劇感想に入る前に今回の宝塚化で生まれた奇跡たちを書きとめておきます。

 

・凜雪鴉、スターになる。

 

「Killer Rouge/星秀☆煌紅」のお衣装を着せてもらった凜雪鴉さん。ラスボスよりラスボスぽい格好してるよね。

 

 

宝塚さんとのコラボの醍醐味を感じました。未だかつてない横幅。こんなに大きい羽根をつけても顔が負けないってすごい。それにしても霹靂さんなんでも作ってくれるな*8……フットワークが軽い。

 

 ・劇場に木偶展示。

 

実際に観劇された方はご覧になられたかと思いますが、今回、各劇場に木偶を展示していただけたのが原作ファンとしてとても嬉しかったです。

やはり宝塚ファンの皆さんにも見ていただきたかった。

あの木偶たちが本当に投げ飛ばされ、泥まみれになり、笑って泣いて戦っているのです。

 

今回展示されたのは凜雪鴉、殤不患、丹翡、 蔑天骸、 捲殘雲、そして紅さん版凜雪鴉の6体。

丹翡、 蔑天骸、 捲殘雲の3体は放送が決定している2期での出番が(恐らく)無いため、今後日本で展示される機会はグッと減るのではないかと思っていたところだったので、この機会に拝めてよかったです。

特に捲殘雲に至ってはまぁーーーーーー展示されなくてですね、彼に二番手スターさんが配役されたことで叶った展示だと思うので、このご縁に感謝です。*9

 

 ・紅ゆずるさん、ねんどろいど化。

 

フィギュア「ねんどろいど 紅ゆずる」発売決定のお知らせ||株式会社宝塚クリエイティブアーツ

 

正直笑いました。

サンファンからは凜雪鴉と蔑天骸が発売済みなので、次は不患か丹翡か……とか言ってたらまさかの紅ゆずるさんでした。*10

これについては是非宝塚ファンの皆様の感想を伺いたいところです。

 

 

 

 

 

【観劇後感想】驚天動地、宝塚。

 

長々と書きましたが、ここからが本題です。

2018年9月23日、東京・日本青年館ホールにてマチネを観劇いたしました。

大変人気の公演だったようで、チケットを取ってくれた宝塚ファンの友人に感謝感謝でした。こいつは重畳。

 

いろんな思いを抱えながら、宝塚歌劇団の表現する東離に飛び込もうではないか。

いざ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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キラ!キララ!キラ!Killer Rouge

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紅いアイツが??????やってくる????????シャア???シャアなの????シャアがトランザムでもするのかい?????「トランザムは使うな「了解、トランザム」状態とはまさにこのこと。

突然現れる笑ってはいけないドラゴン、突然の紅頭巾CHANG、マッチでけぇなそりゃ熱いわなに触っちゃってんの気をつけてねあー熱いってほら、キラールージュだかなんだか知りませんけどゴミ捨てくらいで家事やった気になってるんじゃないぞ、マスクオブルージュちゃん「俺の名前は殤不患!」で会場のお客様が悲鳴をあげてましたよイケボと萌えボイスの切り替えso cute罪作りな美女だなぁ。

♪急に~冷たくなって~そっぽ向かれたり~なんでなんでな~んで~?

いや、こっちがなんで!?!だよ??!?!

♪私は!薔薇の!運命に!生まれ……いやそうだろうよコレコレ!突然の宝塚感!ドラゴンいつのまに薔薇になったん!?!?女性なのに女装とか言う意味不明な概念、紅子のツインテールは貴重なんですかね、見られて良かった!そうだね!オペラグラス近いね!!みんな紅子と礼子の絡みをガン見したいのよそこは察してあげてっていうか知ってるよねごめんね!さくらさくらサクラ桜SAKURA桜頼む次は河口恭吾さんも入れてあげて下さい!ウワアァアァアアアァアーラインダンスだーーーー私、今、宝塚観てるーーーーー!!!!ミッチー?ミッチーなの?ブゥウウウウウゥウウウワアアァアアア階段出てきたーーーーーーすげぇーーー狭そうーーーー落ちないでぇええーーーウノ!ドス!トレス!あ!お盆!お盆だ!お盆光った!お盆wwwww光るのwwwwまじでかwwwwwお盆って光るんだすげぇうわーーーー羽根だーーー重そう;;;ううわあああもっとデカい羽根きたーーーーキラ!キララ!キラ!Killer Rouge☆☆☆キラキラで物理的に殴られる舞台が大好きなのでこいつぁ重畳どころの騒ぎじゃなかった。物理最強。

幕が下りた後の率直な感想は「やべぇ国に来てしまった」に尽きますが、「今のはいったいなんだったんだ……」「これが……宝塚……」とまさに宝塚の洗礼を真正面から浴びた状態の私はちょっと日本語がおいつかず、しばらくファアーーーみたいな奇声を発しておりました。

100年以上もの伝統を持ちながら守るだけでなく新境地を開拓し生き残り、多くのファンを魅了し続ける宝塚歌劇団、そのパワーを顔面に叩きつけられ、購入を迷っていたパンフレットを帰りに即行購入したことをここにご報告いたします。

 

とにかく紅ゆずるさん率いる宝塚歌劇団星組の皆さんがエネルギッシュでパワフルでカッコ良く可愛く、清く、正しく、美しく、すみれというりはガーベラ持ってキャンプファイヤーとかそんな感じでしたが、エンターテイメントの塊のようななんだか全く新しく斬新で魅力的でファビュラスな体験をさせていただきました。

連れて行ってくれた友人に感謝しかありません。

 

人の縁とは数奇なモノで、お地蔵さまから一本の傘を借りただけでなんとも貴重な経験を得ることもあるということです。たかが傘、されど傘。紅い傘にはこんな意味があったんですね。日頃の行いは大切だと思いました。ゴミ出してこよ。

 

 

 

 

以上です!

 

 

 

 

 

 

嘘です!!

 

 

 

 

 嘘ではないのですが(笑)

 

正直、「Killer Rouge/星秀☆煌紅」が強烈すぎてこう書かざるを得ませんでした。なんだよもぉ「Killer Rouge/星秀☆煌紅」ってなんだよぉ~読めないよ~。

 

それではお待たせいたしました。

ここから異次元武侠ミュージカル「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」の感想です。再三のお願いではございますが、あくまでも宝塚を知らない一個人の感想であること、ご了承ください。

 

ざっくりとした私の感想は「言いたいことはあるけど、概ねサンファン」でした。

 

観劇前に不安に感じていたことはほぼ解消されており、楽しんで観ることができました。いくつか項目に分けて書いてみたいと思います。

 

凜雪鴉という人、パワーバランス。

まずどうしても、ひとつ、譲れなかった点があります。

それは凜雪鴉が煙月を抜かなかったこと。

ここだけがどうしてもひっかかりました。ごめんなさい。

凜雪鴉は他人の不幸を食べて生きているようなドクズ・ド外道ですが、それは剣の道を極めるのに飽きた*11からで、実際は天刑劍をもつ蔑天骸を簡単に倒せてしまう作中最強の人物なんですね。やろうと思えば自分でできるのに、他人を出し抜き手足のように使い、果ては血を流させてしまうような凜雪鴉の極悪非道ぶりをより際立たせるためには、抜刀が必要だったのではないでしょうか。

これが無いと凜雪鴉は本当にただの狂言回しになってしまいますし、(実際、本人的にはそうなんでしょうけど……。)凜雪鴉vs蔑天骸って物凄くカッコいい終盤の見せ場なので、舞台でどう表現するのか楽しみにしていた分、少し残念に思いました。

 

刹無生と蔑天骸を相討ちにさせたのもパワーバランス的にちょっとどうかなと思いました。絶対に勝てないと分かっていながら蔑天骸に挑む姿が刹無生のかっこよさだと思っていたので。というか刹無生は全体的に割りを食っていた感が否めませんでしたね。致し方なし。凜雪鴉が散り際の刹無生に手を伸ばさなかったのには何か意図があったんでしょうか。

 

これはまた別の視点ですが、鳥海凜雪鴉と紅凜雪鴉ではベクトルの違う嫌な奴感があって面白かったです。

紅凜雪鴉は鳥海凜雪鴉よりも快楽と愉悦感が強い、より狂気が籠って気持ち悪い(褒め言葉です)凜雪鴉だったように思います。毎日楽しそうな紅凜雪鴉。

 

殤不患、捲殘雲、 丹翡。

超絶心配していた殤不患ですが、こちらは予想を遥かに裏切る主人公ぶりを見せてくれて良かったです!

殤不患のセリフは冒頭の「こいつは重畳!」に始まり、「剣、剣、剣、どいつもこいつも口を開けば剣ばかり~」「人心を惑わし天下を乱した魔剣、妖剣、聖剣、邪剣~」等原作のセリフをそのまま持ってきているところも多く、終盤の魔剣目録から洪荒禁窮獄までの流れは演出も相まって圧巻でした。きっと七海殤不患は諏訪部殤不患のことをめちゃくちゃ研究してるんだろうなと思いました。

技術的なことなのですが、目録の表現面白かったです。プロジェクションマッピングの賜物。

 

捲殘雲も良い具合に出番があって良かったです。彼の場合は出番が増えたというよりも原作での役目をそのままに、周りを引くことで存在が際立ったように思います。コメディ担当としてパーティと観客を明るく引っ張ってくれていましたね。

変に強調されてしまうのではと心配していた丹翡との関係も、べたべたにしずぎずに美味しいところをキッチリ押さえて見せてくれてよかったです。

配役発表の時点で笑ってしまった捲殘雲の母ですが、開演直後に出てきたものでやっぱり笑ってしまいましたごめんなさい。なんかもう捲殘雲の母という概念がツボです。

 

丹翡さんは本当にお綺麗で。一番お人形さんみたいでした。かわいい。かわいい~。

丹翡の魅力って純粋で素直なところもそうなんですが、ちゃんと戦える技術と心を持っているところだと思っていて、綺咲丹翡はそれを上手に表現してくれていて素敵だなと思いました。可愛いけど強そうでよかった。

 

ところで捲殘雲って丹殘雲になったのかな。

 

あと3時間尺が欲しい。

こういう書き方をした時点でなんとなく察しがつくかとは思いますが、名前の上がらなかった他のキャラクターたちは総じて出番が無かったなという印象です。かろうじて蔑天骸が喋ってましたかね……。

 

ストーリー、かなりギュッッッとしましたね。

13話のストーリーを90分に収めるためにかなり試行錯誤されたことと思います。全く原作を見ずに観劇された方が話を理解できたかどうか、微妙なラインでしょう。

刑亥と殺無生をまとめてパーティに入れる、魔脊山全カット、あっさりバレる掠風竊塵、不患の剣が実はただの棒だったことが判明するあたりもわりとアッサリ。相当思い切ったな(笑)と思いました。

凜雪鴉が掠風竊塵だということがバレるくだりはもっと大袈裟にやってくれてもよかったんじゃないかと思います。特に後半の見せ場(蔑天骸とのバトル)を削るわけですし、どのみち他のキャラを削るならにもっと見せ場を与えてもよかったのかな、と思います。

あんなクズでも主人公ですしね。

 

でもこの大胆カットによって獵魅ちゃんが長生きできたのは儲けものでしたね!

傀儡師って何だろうと思っていましたが、ようはナレーションなんですね。面白おかしく小難しい設定を説明してくれて良かったと思います。

 

セット、小物、音楽。 

もうタイトルも何のひねりも無くて恐縮です。

セット凄かったです。

お地蔵さまと傘のシーンが大好きなので再現して下さって嬉しゅうございました。場面転換が多く大変だったことと思いますが、スクリーンを挟みつつ鍛劍祠や七罪塔などぽんぽん変わっていくのすごかったです。

 

丹輝劍訣のエフェクトをプロジェクションマッピングで表現したり、ドットイメージで天刑劍を輝かせたりと使える機構は全部使うくらいの勢いで面白かったです!スタイリッシュ斬首は爆発になってましたね。より派手になっていたので笑いました。ありがとうございます。

メインのセットの奥に置かれていたスクリーンもいい仕事をしていて、サンファンと言えば!な雨のシーンもばっちりでした。

 

スクリーンと言えば、メインキャストによる「RAIMEI」の時に念白が浮かんでいたのが今回のベストオブ演出賞です!

まさかの「RAIMEI」、まさかの念白!

てっきりオリジナル楽曲でくるものと思っていたので、原作のサントラ(もしくはそのアレンジ)を使ってくれていたのは嬉しい誤算でした。

普段宝塚さんの舞台でどんな楽曲を歌われているのかはわかりません。でも、ショーではなくミュージカルの楽曲としては「RAIMEI」ってかなり異質だったと思います。それをかっこよく決めてくるところはさすがとしか!

 

小物も綺麗でした。

装飾のたくさんついた武器もサンファンならでは。いやでもまさか刑亥の鞭が光るとは思いませんでしたよ!! 狩雲霄の矢に打たれたモブの皆さんが手でパッと矢を刺していて面白かったです。発想が凄い。

これは宝塚のオリジナルだったと記憶していますが、最後に凜雪鴉が丹翡に穆輝劍を渡すの最高じゃないですか!拾ってくれてありがとう。

 

異文化交流の楽しみ

長々と書いてしまいましたが、またひとつ新しいサンファンが生まれたな、という印象です。

 

そもそもサンファン自体日本のアニメ由来のコンテンツ文化だったり台湾の伝統芸能だったりいろんな異文化が混ざって成立しているものなので、そこに新たに宝塚の要素が加わったことはプラスにしかならないと信じています。

でも舞台化って必ずしも原作ファンが受け入れられるかといえばそうではないので、私がこういった感想をいだいたのはひとえに宝塚さんの力だと思います。

まずこんな長文したためてる時点で物凄いことです。それだけ揺り動かされたということです。

 

宝塚ファンの皆さんがサンファンに触れてどういう感想を抱いたのかはわかりませんが、少なくとも「Thunderbolt Fantasy」という存在を認識して貰えたことはすごく大きい。知られなければ衰退していくばかりですしね。

 

私もサンファンがなければ宝塚を見に行くこともなかったと思いますし、異文化交流の楽しさを知れてよかったです。

紅子のことはしばらく忘れません。

 

大絶賛も大批判もしない曖昧な感想文でしたが、とあるサンファンファンの目にはこう映っておりましたよ、という記録でございました。

 

最後に

Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2」は2018年10月1日より放送開始ですのでどうぞよろしくお願い致します。

 

youtu.be

 

それでは東離でお会いしましょう。

 

 

*1:「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」キャラクターデザイン画集より

*2:布袋劇人形のこと。

*3:殘凶のスタイリッシュ斬首の心配ばかりしてました。

*4:宝塚から入ってサンファンを見た方で、「殤不患が主人公みたいだった」のような感想をお見かけしましたが、殤不患は原作側では公式に「主人公」と紹介されています。

*5:「Thunderbolt Fantasy 生死一劍」

*6:捲殘雲の”父”も同時に発表になっていましたが先に目に入った”母”が強烈過ぎてもう笑いが止まらなかったんですすみません。

*7:

http://home.pili.com.tw/

*8:過去には刀剣乱舞西川貴教さんとのコラボがありました。

*9:余談ですが、木偶のレプリカが発売された時も捲殘雲はラインナップから外れました。 本編に5分くらいしか出番の無い丹衡兄さんでさえラインナップされたのに。しょんぼり。

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*10:その後、無事に不患さんもねんどろいど化が決まりました。よかったね。

*11:というか多分終わりがなくて絶望し、極めたところで意味が無いと思った